Topic

伊豆大島椿列伝
12品種の椿とキャラクター紹介

伊豆大島にてその美しさを見て楽しむことができる代表的な12品種の椿について擬人化する「伊豆大島椿列伝〜椿キャラクターデザインコンテスト〜」を実施いたしました。結果、全国津々浦々、41都道府県から、予想を遥かに超える400点以上のご応募がありました。たくさんのご応募本当にありがとうございました。

本ページでは、特に優秀だった作品とモチーフとなった品種についてご紹介します。

ヤブツバキ

作者:三角朱音 さま

キャラ設定
とても心優しく、まじめな性格の妖精。園芸品種でない自分の生まれがコンプレックスで、実は自分に自信がなく、泣き虫。普段は他の椿の前では涙を見せないよう明るく振る舞っている。しかし、彼女の瞳から流れる涙が、とても価値の高い油であることは誰にも知られていない。(頭の実から分泌され、瞳をつたって流れ出ている)

品種解説
ヤブツバキは原種なので、同じように見えて一本ずつ、花の色、大きさ、形、開花時期、花に限らず葉も幹や枝も全く異なります。人間で言えば一般人みたいなものです。一方で、命名、登録されている園芸品種は、それぞれ特徴的でいわば芸能人みたいなもの。同じ品種はクローンなのですべて同じ形質です。

卜伴ぼくはん

作者:御剣楓 さま

キャラ設定
頭に2つ卜伴椿を付けた、ちょっとツリ目の子。名は「月光」。男の子か女の子か聞いてもはぐらかされる。椿油で髪ツヤツヤ。「月光」なので月の模様の入った、夜空色の衣装を着ている。丸い眉毛がチャームポイント。身体を動かすことと占いが得意。双子の「日光」という子を探している。

品種解説
紅色、一重、唐子咲きの小輪花。江戸時代から人気の品種。唐子咲きといわれる花形。唐子文様に描かれる中国の子供の髪型に似ていることが唐子(からこ)の語源。雄しべの先が変形して白い花弁化し、よじれて盛り上がっています。京都では紅唐子の「日光(じっこう)」に対し、本品種は「月光(がっこう)」と呼ばれます。
卜伴の名前の由来は、泉州貝塚の寺内町の宗教的領主卜半斎了珍にはじまる卜半家にいきつきます。泉州は和泉国(今の大阪府南部)のことで、戦国時代には石山本願寺や紀州根来寺など一向衆の勢力下にありました。卜半斎は豊臣秀吉とは親密な関係にあって、聚楽第の建設にも関わったそうですが、徳川家康の天下となっても引き続き寺内町の支配を認められ、幕末まで存続したそうです。卜半家の願泉寺に植えられ、住職の代々卜半斎が愛好したのがこの花だったと言われています。

胡蝶侘助こちょうわびすけ

作者:阿部たまき さま

キャラ設定
陽気で明るい人好きなお喋り茶人。ムードメーカー。年齢不詳。大島に来た人に美味しいお茶を飲んでもらい、大島の良い所、好きな所を話すのが生き甲斐。空飛ぶ不思議な茶釜で移動する。茶釜の中からは茶道具から日用品まで色んなものが出てくる。侘助帽子がトレードマーク。

品種解説
一重、猪口咲きの極小輪花。京都の寺院などに古木が多くあるワビスケツバキ。江戸時代にワビスケと言えば本品種のことをさしたといいます。朝鮮出兵の際に持ち替えられたものとされ、千利休に仕えた侘助という人物が世話をしていたので、この名前になったといわれます。
成木になるとしべが正常な花と、しべの退化した小さい花が咲き分けます。本品種や太郎冠者が中国産のツバキに由来するという根拠は、子房が有毛であり、これは国産のヤブツバキにない特徴であるためです。

沖の浪おきのなみ

作者:ナジココ さま

キャラ設定
髪飾りや着物の柄が沖の浪になっていて煌びやかなお姫様をイメージしてキャラクター化しました。羽織の裾を、沖の浪の名前に因んで海の波のようなデザインにしています。

品種解説
桃地に縦絞りが入る白覆輪、八重、蓮華咲きの中〜大輪花。江戸時代から人気があります。白覆輪とは、花弁(花びら)の外側に白色がでるもの。本品種は白覆輪が目立たないものや、花色の枝変わりなど、変化しやすい特性があり、朱紅色の「藻汐(もしお)」や、「藻汐」に斑が入った「釣篝(つりかがり)」といった派生品種があります。「沖の浪」が海にちなんだ名前なので、どれも海に関わる名前になっています。昭和36年に日本最初の花切手シリーズ・椿の絵柄にも採用されている、日本のツバキを代表する品種のひとつです。

東海とうかい

作者:桜海こも さま

キャラ設定
東海汽船の創立80周年を記念して名付けられたということで全体のイメージは「船乗り」を意識しました。カラーリングは椿の花の色合いをイメージカラーにし、全体のシルエットは東海を逆さまにしたようなものにしてあります。花の形が閉じ芯なので白い部分はキュッとしまっており、赤い部分は華やかで広がりのある形にしました。タイツの部分は雄しべをイメージしたデザインです。髪色はにほん生まれなので黒、瞳の色は椿油の色合いにしました。後ろの大きな錨は東海汽船所属のの橘丸やさるびあ丸の錨と同じ形であるホールス型を採用しています。

品種解説
濃紅色、一重、筒〜ラッパ咲きの中輪花。閉じ芯と言う、雄しべの先端が集まっている引き締まった花形で、強めの芳香もあります。
尾川武雄先生に夜伊豆大島のヤブツバキからの選抜品種。尾川先生は50年以上も島内を探索し、250点以上の良花、珍花を見つけられたという偉大な業績があります。1969年に東海汽船の創立80周年を記念し、この名前を付けられました。

太神楽だいかぐら

作者:吾妻直幸 さま

キャラ設定
華やかで気品がありそれでいて少し儚いイメージを、気が強そうでいてどことなく憂いがある女性に擬人化しました。月夜を傘で表し、その月光の下に鮮やかに咲く太神楽をイメージして描きました。

品種解説
牡丹咲きの大輪花で、紅地に白斑が入ります。蕾が大きく、先端に紅を含むものは茶席の初釜でよく用いられるそうです。北陸のユキツバキの影響をうけた古い品種で、関西に古木が多くあり、石橋(しゃっきょう)、清緋、照日などそれぞれ別名がありますが、いずれもユキツバキ系らしい低木です。

太郎冠者たろうかじゃ

作者:ゆきんこ さま

キャラ設定
狂言の役者、太郎冠者をモチーフにしました。演目「棒縛り」に登場する棒を杖替わりにしています。お酒が大好物で、腰のひょうたんにはいつも伊豆大島の清酒がたっぷり入っています。まだ雪の残る時期から咲く品種なので、頭の笠には雪が積もっています。袴のデザインも雪をイメージしました。見かけによらず陽気な性格で愉快なことが大好き。おっちょこちょいなところがあり、しょっちゅうはく草履を間違えます。

品種解説
桃紫色、一重、筒〜ラッパ咲きの中〜小輪花。ワビスケツバキ(C.wabisuke)の祖になる品種。日本産のツバキでなく、中国のサルウィンツバキ(C.saluenensis)もしく(おそらく)はピタールツバキ(Camellia pitardii)に由来します。安土桃山時代に、朝鮮出兵に際し加藤清正が持ち帰り豊臣秀吉に献上したものと言われます。京都の寺社には、五色八重散椿など秀吉公や清正公に由来するツバキが多数あります。太郎冠者の語源は狂言で最初に口上を述べる登場人物の太郎冠者を、早咲きで新春に開花し、椿シーズンの幕開けを告げる存在である本品種をかけたもの。別名は有楽(うらく)。織田信長の弟で茶人として有名な織田有楽斎長益が愛好したということで、その名がついています。有楽町に屋敷があったという説もありますが、定かではありません。

明石潟あかしがた

作者:はなだ さま

キャラ設定
明石潟をイメージした巫女のキャラクターにしました。明石潟は大きい花とのことなので、髪飾りとして大きく明石潟を使用しました。花が可愛らしく華やかな赤色なので、赤い服の巫女さんをイメージしました。

品種解説
紅桃色、八重、平開咲きの極大輪花。江戸古典品種で日本産品種では最も大きいもののひとつ。花数も多く大変に見応えがあります。3倍体なので、花や葉は大きいですが、結実はしません。播磨国の地名が語源で、古くから風光明媚な海岸として知られています。
ニジマスの養殖などで知られる3倍体の生き物は、通常2本である遺伝子の染色体数が3本であるため、減数分裂ができないので性成熟することがなく、その分のエネルギーを栄養成長に回すことができています。

光源氏ひかるげんじ

作者:七海色 さま

キャラ設定
伊豆大島といえば椿油だと思ったので、髪の綺麗なキャラクターにしました。そのまんま光源氏のイメージですが、陰陽師と牛若丸も少し混ざっています。

品種解説
淡紅地に虹の縦絞りや白覆輪が入る牡丹咲き、散しべの大輪花。ツバキには源氏椿という白覆輪(花のはしが白い)の仲間があります。源氏と名付けられた理由は、端(はし=はた)が白い→旗が白い→源平合戦の旗が白いのは源氏、(赤いのは平氏)という言葉遊びです。その中でも光輝く美しい花と言う意味で光源氏と名付けられている、海外でも大変人気のある江戸古典品種です。
源為朝伝説がある伊豆大島は、源氏椿を増やしても良さそうですね。

黒潮くろしお

作者:澪音 さま

キャラ設定
黒潮の波をイメージした波打つ髪と潮流をイメージした着物、波の白い泡立ち。装飾に雫やヒトデもあしらいました。そして微香を、幼さの残る少女で表現しました。

品種解説
黒味を帯びた濃紅色、筒咲き筒しべの中輪花。1969年に尾川武雄先生が発表した伊豆大島のヤブツバキの選抜品種。整った蕊が美しく微香もある良花です。
伊豆大島はヤブツバキが約300万本自生しているとされる日本一の椿の島です。野生種ですから300万本のヤブツバキには、300万の個性があります。

香紫こうし

作者:卍くらげ さま

キャラ設定
「香紫」という名前から、隠された色気のようなものを連想したので、一見優等生らしい女の子の髪のインナーカラーやスカートの色などにちらりと椿の赤色を仕込むことでそれを表現しました。色のコントラストやシルエットの椿らしさやまとまりを特に意識しました。

品種解説
紫紅色、一重、筒咲きの中輪花。名は本品種の、紫がかった花色と、芳香があることに由来します。約300万本あるといわれる伊豆大島のヤブツバキの中から、尾川武雄先生が1969年に選抜された、大島を代表する品種です。本品種の花粉は有香品種の育種を目的に海外にも送られているのです。

蝦夷錦えぞにしき

作者:きむらみか さま

キャラ設定
蝦夷錦を元にデザインしたくのいちです。くのいちですが、派手なファッションが好きで目立ちたがり屋。ツインテールにした髪は、雄しべの色や形状を意識しました。

品種解説
白〜淡桃地に縦〜小絞りが入る八重咲きの中輪花。本品種は日本からヨーロッパに最初に伝わったツバキのひとつ。江戸時代にシーボルトによって持ち帰られ(シーボルト事件)、洋名はトライカラーと名付けられました。それは、成木になると花色の枝変わりが多く出て3色に咲き分けるため。赤蝦夷、白蝦夷、錦重、都の錦など派生品種が生まれています。トライカラーやドンケラリー(正義)の伝播は、やがて小デュマの小説およびヴェルディのオペラ「椿姫」を生むことになる。19世紀ヨーロッパにおける空前の椿ブームの先駆けになりました。その後ヨーロッパの上流社会にツバキは「冬のバラ」として絶大な人気を得ることになります。
蝦夷錦の語源は、江戸時代に松前藩経由で中国から伝わった清国の絹や官服の呼称です。美しく多彩な模様をもつために蝦夷錦と名づけられました。独特の葉のよじれも特徴的です。語るに尽きない名花といえます。

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