防災・教育の取り組み

伊豆大島ジオパークでは、
子どもたちへの自然科学・防災教育をテーマにしています。

2011年には日本で大きな災害が発生しました。1月に九州霧島新燃岳が噴火し、3月に東北地方太平洋沖地震がおこり、9月には台風第12号・15号が上陸しました。特に、3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震・津波」では、約16000人が亡くなり、約4000人が行方不明になりました。伊豆大島の人口は約8600人(2011年11月)ですから、その2倍強の人々が一瞬で犠牲になってしまいました。

東北地方を襲った津波は、海底から60メートルもの高さにそびえ立つ防潮堤を破壊し、海岸から1500メートル離れた場所の避難施設を押し流しました。このような状況のなか、岩手県釜石市では、市内の小中学生ほぼ全員が助かりました。「釜石の奇跡」と言われています。釜石市では、学校教育で津波防災の取り組みを行っていました。津波から身を守るにはどうすればよいかを徹底的に教えていたのです。このことで、防災教育が如何に重要であり、有効であるかが再認識されました。

災害から身を守るためには、災害を引き起こす自然現象を知り、災害から逃れる方法を知り、異常時にはすぐに行動することが大切です。津波に直面するような極限状態では、人間の本能である生き抜く力を発揮しなければならない場合もあります。生きる力、自らの命を守るための防災教育が求められています。

伊豆大島ジオパークには、
自然科学・防災を知るための教材が豊富です。

伊豆大島では、津波・地震・台風・火山、全ての種類の災害がおこっています。約300年前の元禄地震のときには、岡田地区で高さ10メートルの津波が来て56名が亡くなりました。このときの津波により、火口湖が海とつながって、現在の波浮港のもとができました。2002年には台風第21号の暴風とうねりにより、大型貨物船が南東部海岸に座礁する事故がありました。1986年の伊豆大島噴火では、1万人が島外へ避難しました。このように多様な自然災害の経験があります。特に、伊豆大島火山は噴火を繰り返していますので、火山活動が残した記録が山頂や海岸にたくさんあります。これらは、自然や防災を知るための教材でもあります。

伊豆大島ジオパークは、
楽しみながら自然科学・防災のことを知るところです。

三原山の斜面に見える黒い筋は、溶岩が流れたところです。流れた当時は、真っ赤な火の川でした。温度は1000℃を超えていました。しかし、伊豆大島火山の溶岩が流れる速さは、一般に人間が歩く速さよりも遅いので、離れていれば見物することができます。

大規模噴火のときには、溶岩は海に流れ込んだこともあります。また、爆発的な噴火のときには、大きな噴石が火口から離れたところまで飛んできます。このような場合は大変危険で、避難が必要になります。

ジオサイトで、風景を楽しみながら、災害を引き起こす自然現象を知り、災害から逃れる方法を知りましょう。

 

知識と経験豊かなネイチャーガイドが、
自然科学を防災を伝えます。

ネイチャーガイドは、防災の担い手でもあります。自然科学などの知識だけでなく、防災の知識も備えています。ゴジラ岩や裏砂漠へご案内し、その成り立ちを説明し、火山の危険な現象と逃れる方法もお伝えします。

もしも、火山活動が活発になって現地で危険な状況になった場合には、的確な判断のもとに避難の誘導もします。

小学校・中学校の体験学習への協力を行っています。

大島町立小学校・中学校では、理科の授業「地球と大地のつくりと変化」などの単元の中で、ジオサイトの体験学習を年間計画に取り入れています。小学校6年生は、火山博物館で火山の基本的な学習を行っています。中学校1年生は、その知識を基に実際に三原山や各地のジオサイトを巡る体験学習を行っています。体験学習では、ネイチャーガイドやジオパーク委員が、小学生や中学生に火山の知識、火山災害、災害から身を守る方法などをわかりやすく、楽しく説明しています。 また、島外の学校向け(生徒・教職員)には、様々な体験学習プログラムを用意しております。